病理診断科
病理診断科紹介
患者さんに最適な医療を提供するためには患者さんの病態を的確に診断しなければなりません。このために主治医は、血液検査、尿検査、レントゲン・CT・超音波などの画像検査、心電図・脳波といった電気生理学的検査、病理学的検査等、種々の検査を患者さんの状態のあわせて取捨選択し、それら検査結果を総合して臨床診断を確定しています。
病理診断科は病理学的検査の実際の担い手です。病理診断科では病変から採取された組織や細胞を光学顕微鏡で観察して形態学的な病理診断を下します。
形態的な観察(簡単に言えば見た目)による判断というと「いい加減な」と思われるかもしれませんが、例えば他人には見分けのつかない一卵性双生児を親御さんなら簡単に見分けがつくように、十分に経験を積んだ病理専門医、細胞診専門医や細胞診検査士が慎重に観察して判断すれば百パーセントとは言えないまでも九十数パーセント判断を誤ることはありません。判断の難しい残り数パーセントに対しては、組織化学染色・免疫染色・FISH法・PCR検査など補助的診断法も駆使して、正診を期してます。がんなどの腫瘍性病変においては病理診断が最終診断となることが多くあります。
病理診断科の業務
1) 組織診断
2) 細胞診断
3) 術中迅速診断(組織診・細胞診)
4) 病理解剖
1) 組織診断
胃や大腸内視鏡検査等で採取された病変部粘膜、皮膚のできものやリンパ節などの小切開による摘出物、手術で摘出された臓器病変など、当院で摘出された患者さんの組織材料はすべて病理検査室に提出されます。それらは10%中性緩衝ホルマリンで固定され、パラフィンで固めた後、4~5ミクロンの薄い切片にしてガラスに載せて、顕微鏡用の染色を施し組織標本とします。病理医は顕微鏡で観察し、必要に応じて補助的診断法も使いながら、病理診断を下します。
2) 細胞診
気管支擦過、子宮膣部擦過、乳腺・甲状腺等の病変からの穿刺吸引、尿、胸水・腹水などの細胞材料も患者さんの病態把握や病理診断につながる大切な検査材料として病理診断室に提出されます。細胞材料は原則95%アルコール固定された後、細胞診用の染色が施されて、細胞診標本とします。まず細胞検査士が一次スクリーニングを行い、細胞検査士と細胞診専門医とのディスカッションを経て、細胞診判定が確定されます。
3) 迅速診断
手術中の行われる組織診・細胞診です。切除断端の検索やリンパ節転移の有無、胸水・腹水中の悪性細胞の有無、強く悪性を疑って手術となった腫瘍の術中悪性判定などのために行います。時間的制約のため組織診ではパラフィン切片ではなく凍結切片を作成しますし、迅速に固定・染色を行いますので、検体提出から十数分から数十分での結果報告が可能です。 迅速病理診断によって手術術式の変更や追加切除など行われることもあり、術中に予期せぬ病変に遭遇した場合でもその病変の病理を知ることによって術者は安心して手術を遂行することができます。
4) 剖検診断
不幸にしてお亡くなりになられた患者さんに対して、ご遺族のご理解とご承諾のもとに行われるのが病理解剖です。これは主治医の依頼により解剖資格を有する病理医により行われます。病名は正しかったか、治療効果はどうか、亡くなられた死因はなんであったか、お亡くなりなるまで診断がつかなかった患者さんについてはどんな病気であったかなどを病理組織学的に検索します。
業務件数(過去5年間)
スタッフ
若木 邦彦 | 本間 慶一 |
「外来診療担当医一覧」こちらをご覧ください。